interview

先輩移住者の声

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建築と医療の課題を暮らしの活力へ ~那須烏山市で育まれる新たなコミュニティ~

建築と医療の課題を暮らしの活力へ ~那須烏山市で育まれる新たなコミュニティ~

齊藤貴広さん・横山孝子さん

建築家プロ集団「ハウスブックプロジェクト」による空き家プロジェクト 「活動を始めたきっかけは、近代化遺産に指定されていた『烏山』駅が建て替えられたことでした。こんなに簡単に街の遺産が失われてしまうのかと、建物に関わる人間の役割について、真剣に考え始めたんです。色んな本を読んでいるうちに、人口減少と空き家の増加によって、市町村が消滅しかねない将来に危機感を覚え、那須烏山市の空き家問題に関わりたいと思うようになりました。」 那須烏山市出身の齊藤貴広さんは、宇都宮市などの設計事務所で働いた後、2008年に母の建築事務所「建築工房ヒロエ」を手伝う形で、故郷へUターン。5年後の2013年に、一般社団法人 栃木県建築士会烏山支部に所属する建築士の仲間と共に、空き家情報の集積・公開・利用促進を通して、まちづくりを推進する「ハウスブックプロジェクト」を設立した。 「実態調査をしたところ、多くの物件が見つかりましたが、代々受け継いだ場所を貸すことに抵抗を感じる方が、少なくありません。空き家の持つ可能性について丁寧にお話して、不安を取り除くことが大切ですね。」 飲み会の席で生まれたアイデアを形に 齊藤さんは、「ハウスブックプロジェクト」以外にも、様々な活動に精力的に取り組んでいる。2014年には、地元出身の同級生4人で、農産物の生産・加工・販売を行う「烏合の手」を結成。「みんなでお酒を飲んでいる時、造園業を営んでいるメンバーが、自家栽培している野菜をみんなに配ってくれたんです。ちょうどその場に、ジュース加工の仕事をしている仲間も居合わせて、那須烏山のお土産を作ろうと話が盛り上がり、実現に向けて動き始めました。」 早速、メンバーの土地で野菜づくりに着手し、果肉感たっぷりの完全無農薬トマトジュース「赤烏」を完成させた。次にJA那須南の協力を得て、栃木県産ブランド梨「にっこり」を使用した梨ジュース「梨烏」も手がけ、直売は勿論、地元のステーキハウスや物産店、那須塩原のカフェと販路を拡大している。 「ジュースは絞りたても美味しいですが、寝かせておくと熟成され、より濃厚な味が楽しめます。“七色の烏”を羽ばたかせることを目標に始めたので、今後は烏山のミカンやリンゴなども製品化したいです。」 コミュニティをデザインする「まちづくり」 「ハウスブックプロジェクト」も「烏合の手」も「まだまだこれから」と話す齊藤さんだが、プロジェクトを通して思わぬ出会いに恵まれた。その一人が、町内で床屋を経営している高橋誠一さん。環境や持続可能性をテーマに世界各地で開催されている、エコでソーシャルな飲み会「green drinks」を那須烏山で始め、「運営の手が足りないので若い力を貸してほしい」と齊藤さんに相談を持ちかけたという。 こうして2014年に生まれたのが、那須烏山市のコミュニティデザインチーム「glabo(グラボ)」。月1回行っている「green drinks」では、近隣の町から多彩なゲストを招き、年齢・経歴・業種・地域を超えたネットワークを育んでいる。「まちづくりに関わりたいとはずっと思っていましたが、動き出してみたら、同じような意識を持つ人たちがいることに気付かされました。」 建築士の仕事を軸に、新たな分野にも軽やかに飛び込んでいく齊藤さん。まちづくりは、まず楽しむことからと話す。「お酒を飲みながら、ざっくばらんに話し合うだけでもいいと思うんですよ。僕自身、『glabo』の集まりで梨農家さんと知り合ったことが、JAさんとのコラボ作『梨烏』に繋がりました。誰もが気軽に参加できて、楽しみながら輪を広げられる、そんな場になればいいですね。那須烏山はコンパクトな町で、動きが取りやすいので、その分、可能性も大きい気がしています。」 移住先で見つけた課題が人生の転機に 那須烏山市の地域医療に危機感を抱き、自らのキャリアを活かした事業をスタートさせた女性がいる。在宅医療に取り組む看護師、横山孝子さんだ。群馬県出身の横山さんが那須烏山市に移り住んだのは、1997年。知人を頼りに移住したのが最初だ。那須烏山の豊かな自然環境が一目で気に入ったという。地元の人たちの紹介で、勤務先の病院や住居、子どもの学校まで、とんとん拍子に決まったそうだ。 「那須烏山に引っ越してまだ間もない頃、息子が一人で下校していると、コロッケ屋さんのご夫婦が声を掛けてくれて、コロッケをお土産に持たせてくれたんですよ。最初から、余所者を歓迎してくれる温かい町だなあという印象で、スムーズに溶け込めました。」 転機が訪れたのは、救急外来を担当し始めた時。救急外来で90歳近いお年寄りが救急車で運ばれ、病院で亡くなる姿を目の当たりにするなかで、在宅医療の必要性を切実に感じるようになった。 「群馬の実家では、曽祖父母も、祖父母も皆、家で家族に看取られました。高齢の患者さんたちの願いが叶って、やっと自宅に帰れたと思ったら、救急車で運ばれて病院で亡くなる現状をなんとか変えたい、看護師として自分にできることはないかと考えるようになりました。」 その後、在宅医療の勉強会や講演会に積極的に参加。全国各地で、介護保険制度では対応しきれない生活支援を行う訪問ボランティアナースの会「キャンナス」と出会い、その活動と精神に「これが私の求めていたものだ」と深い感銘を受けた。 ネットワークで育てる在宅医療 一念発起した横山さんは、「在宅医療はコミュニティ全体で考えていくものなので、まずは地域を知ることから」と、お祭りの実行委員会や消防団の一員に。 「当初は、法人って何?定款って何?という、まさに手探りの状態でしたが、想いだけで動き始めたことに共感してくださった地元の人たちや議員さん、新聞記者さん、商工会の方々が、立ち上げ前から応援してくれて、空き家物件も紹介してもらえました。」 こうして2012年に、那須烏山市初の訪問看護「訪問看護ステーションあい」が誕生。5人のスタッフで始まった事業所は、現在、10人の多彩な経験値を持ったスタッフで運営されている。2015年には、念願の「キャンナス烏山」を設立し、訪問介護の有償ボランティアサービスを開始。医療保険や介護保険の範囲内でサービスを提供する「訪問看護ステーションあい」を補完する形で、外出時の付き添い、旅行介助、留守番など、保険の対象外となる支援の依頼にも柔軟に応じている。「今後も住民の方々や、行政・病院と協力しつつ、既存のシステムでは対応しきれないニーズに応えたい」という横山さん。 実はもう1つ、空き家を活用して実現したい夢があるという。「自宅での看取りは、家庭の事情や病状によっては難しい場合が多々あります。そういう人たちのために、必要な環境を整え、自宅にいるように最期を迎えられる『お看取りの家』を作れたらと思っています。訪問看護は看護士の心の集大成。地域の方々に、諦めなくていいと、希望を持ってもらえたら嬉しいですね。」 グループ応募もOK!那須烏山市地域おこし協力隊 今回初めて地域おこし協力隊を募集する那須烏山市。市民活動が活発な那須烏山市で、地元の方と一緒に街を元気にしませんか?募集は7月15日まで! *地域おこし協力隊募集要項を確認する

“ニア東京”で叶える、多彩な暮らし。

“ニア東京”で叶える、多彩な暮らし。

生田 公二さん・山口花英さん

栃木には、こんなにもたくさん魅力的な人がいるんだ! —まずは、生田さんと栃木の関わりについて教えてください 学生時代に東京でまちづくり関連のアートイベントに参加していたのですが、東京の中心地にも地域に根深いコミュニティがあって、そこにアーティストや建築家、学生などさまざまなヨソ者が混じりあって、まちが変化していくさまが面白いなと思ったことが始まりでした。 その後、東日本大震災が発生した際に、改めて地方へと目を向けるきっかけがあって、ちょうどそんなとき、知人から県東エリアに位置する真岡市(もおかし)で観光まちづくりの事業がスタートするという話を聞き、ぜひ携わってみたいと、思い切って真岡市へ行くことにしたんです。 —真岡での観光まちづくりとは、どのような活動ですか? 真岡市は、日光や那須のように観光資源が豊富にあるわけではありません。だからこそ、市民一人ひとりが“観光の担い手”になって地域資源を掘り起こし、ネットワークを築きながら活動することで、街を元気にしていこうという取り組みでした。 この活動を通じて、県内各地で、当時震災によって被害を受けた地域を盛り上げようと活動する方や、カフェや古道具店などの商店主、地元の農家さんや、熱意のある県・自治体の職員など、地域で暮らすさまざまな方に巡り合うことができました。 「栃木にはこんなにも面白い人、魅力的な人がたくさんいるんだ!」と、東京から来てみて、驚いたのを今でも覚えています。 —とちぎ暮らし・しごと支援センターで働き始めたきっかけは? 真岡のプロジェクトがひと段落した後、栃木県以外にもさまざまな地域の事業に携わりましたが、栃木で出会った人たちの印象が強かったこともあり「いずれまた栃木に関わる仕事がしたい」と考えていました。そんなときに見つけたのが、「とちぎ暮らし・しごと支援センター」の募集でした。 東京にいながら、栃木の魅力を発信できることや、これまでの経験を生かせる仕事でもあることから、応募に至りました。 人と人、人と地域をつなぐ架け橋に −移住・交流相談員の仕事で、大切にしていることは? 仕事や住まい探しの相談、移住にまつわる支援制度の案内も行いますが、「移住によって、どんなライフスタイルを実現したいのか」をしっかりとヒアリングすることを大切にしています。移住は少なからずその人にとって人生の大きな選択となるので、希望もあれば不安もあります。相談者の想いをくみ取り、その方や家族にとって、最適な提案することを心がけています。 具体的に希望する地域の絞り込みができてきたら、求める情報がより多く得られる現地の窓口や、参考になる暮らしや働き方を実現している移住者を紹介したり、地域の人につなぐことが重要になってきます。そのためには、私自身が日頃から、各自治体の移住に関する部署や支援を行う関係団体、キーマンと、しっかりと顔の見える関係を築いておくことも大切だと思っています。 −相談者には、どのような人が多いでしょうか? 相談に来られる方は、20代から50代くらいまでの働き盛りの方が7割ほどを占めています。なかでも、Iターン希望者が多いのが特徴でしたが、昨今の状況からかUターン希望の若者も増えてきている印象です。 Iターン希望者は、東京や神奈川、埼玉、千葉など東京圏在住の方が多く、“ニア東京”に位置する栃木県ならではと言えるでしょう。「自然が身近な環境で、のびのびと子育てがしたい」「ゆったりとした広い住まいで暮らしたい」という希望を叶えつつ、必要なときにはいつでも東京に出られる、これは栃木の大きな魅力の一つです。 さらに、テレワークの普及が進み、ニア東京でゆったりとした暮らしを叶えたいという、ニーズの高まりを肌で感じます。東京から宇都宮までは新幹線で約50分、車で2時間ほどという近さであり、テレワークによって出社が月1回や2回ほどであれば、苦にはならない距離感だと思います。 現在では、オンライン(Zoom)による相談も可能ですので、ぜひ気軽にお問い合わせください。 —県内各エリアの魅力を教えてください 栃木市や小山市などがある「県南エリア」は、なんと言っても都心へのアクセスが良く、JRや東武鉄道、高速道路などの交通インフラが整備されており、学校や病院、買い物ができる場所も充実していて、生活の利便性が高いのが魅力です。そのうえ、自然との距離も近く、のびのびと暮らすことができるため、移住先としても人気の高いエリアです。 「県東エリア」には栃木県のシンボルともいえる、いちごの生産量日本一の真岡市や、益子焼で有名な益子町があり、里山の自然に近い暮らしが楽しめます。公共交通の利便性は決して良いとは言えませんが、車があれば不便はありません。SLの走る真岡鐵道などローカルな風景も魅力的です。 宇都宮市のある「県央エリア」は、仕事や住まいの選択肢も幅広くあり、地方暮らし初心者の方にもおすすめです。生活に必要なお店や施設も身近にそろい、利便性が高い一方、少し足を伸ばせば田園風景や豊かな自然にも触れられる、まさに都会と田舎のいいとこ取りができるエリアです。 日光市のある「県西エリア」は、世界遺産の日光の社寺などの歴史資源や、温泉も多く、雄大な自然を有するエリアです。起業などやりたいことがはっきりしている人や、テレワーク等で場所を選ばない方、自然の中で暮らしたいという方などにおすすめです。 県南エリアと並んで人気が高いのが、那須塩原市や那須町のある「県北エリア」。観光スポットや温泉などが多い一方で、交通や生活のインフラが整っているエリアもあり、暮らしやすいのが魅力です。都心からは離れますが、そのぶん豊かな自然が満喫できます。 このように栃木県にはさまざまな表情があり、都会的な地方暮らしから、自然豊かな農村での暮らしまで、多様なライフスタイルが実現できるのが、何よりも大きな魅力です。 難しく考えず、まずは気軽にご相談ください! —こちらの支援センターを、上手に活用するポイントは? まだ移住についてぼんやりと考えている段階でも、まずは一度お話を聞かせていただければ、移住へのヒントが得られるかもしれません。何から始めていいのか分からないという方もたくさんいますので、何でもご相談いただけたらと思います。 また、具体的に移住先を検討する際には、「現地に行ってみる」ことが大切です。移住のリアルを知る先輩移住者や、地域に詳しい地元の方など、ご紹介できる方もいますので、話を聞いてみることで、より移住後の暮らしのイメージを持ちやすいと思います。もちろん、理想的なことばかりではありませんので、デメリットも理解した上で、決めていただく必要があります。 昨今の事情で現在は休止している所もありますが、自治体によっては移住体験のできる「お試し住宅」も用意していますので、移住先を決定する前に、現地での生活を体験してみるのも有効な方法です。 −最後に、今後、力を入れていきたいことを教えてください 自分自身が移住者だった経験から、このような窓口やサポートがあればどれだけ心強かったかと思うからこそ、これから移住を考える人にとって頼れる存在でありたいと思っています。特に栃木とのゆかりがない方の場合は、いきなり地域に飛び込むことは勇気のいることだと思います。自分だけで悩まずに、ご相談いただければ全力でサポートさせていただきます。

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